犬の悲惨な現実
捨てられた犬や逃げ出した犬などが収容され殺処分される施設のことを保健所といいますが、一般的に「動物愛護センター」と呼ばれています。そこには首輪をして飼い主がむかえに来るのを待っている犬たちが多く収容されています。
ただ可愛いからとか寂しさを紛らせるために犬を購入しては捨てる飼い主が後を絶ちません。
このように捨てられ動物愛護センターに持ち込まれる数は年間約34万匹です。
この数は何と日本のペットショップの犬の数よりも多いといわれているのです。
ところがこのように捨てられた犬たちは、飼い犬だけではないのです。
それはどういうことかといいますと、そこに浮かび上がってくるのが闇の流通システムの実態なのです。
ペットショップやブリーダーなどの業者は全国で約2万件登録され把握されていますが、未登録の業者を含めますとその何倍もになることでしょう。
それはペットブームにより、犬をドンドン繁殖させるために業者が未登録のまま増え続けてしまったことが原因です。
驚くことにその業者たちによる捨て犬が10%以上にも上るのです。
例えば繁殖能力が衰えた犬はもはや「用済み」として処分されてしまうようで、その数がこの中に含まれています。
また、病気や奇形の犬や売れ残ってしまった即ち「商品」にならないと見なされた子犬までも同じような運命を辿るのです。
ペットブームにより人気種をドンドン繁殖させ増えすぎてしまったり、また人気種が変われば売れ残ります。
そうすればそれらの犬たちも次々とセンターに運び込まれます。
ですので運び込まれる中にはミニチュアダックスやチワワやポメラニアンなど人気の純血種や無理な繁殖による奇形や健康障害の犬も多くいます。
ブリーダーに関しても日本と諸外国とでは随分様子が違っているようです。
ドイツやイギリスでは、「64日未満の子犬は母犬から引き離し販売してはならない」という法令等で定めているのに対し、日本はでは実際のところ41日程度で取引が行われているのです。
これは最も小さいうちがやはり可愛いから商品として売れやすいという理由により子犬を商品意識で考えているからで、母犬から早く引き離し取引されてしまうのです。
子犬を親元から早く引き離してしまうと、問題行動を引き起こしやすいといわれています。
生まれて母犬や兄弟から犬社会を学び、上下関係を学び、そうすることによって躾がし易く、飼い主に対してや他の犬に対しての関係を築きやすいといわれています。
またこのような問題行動を起こす犬たちも、飼い主から懐かない躾できない等の理由で捨てられ、動物愛護センターへと持ち込まれるのです。
いずれにしても捨てられた犬たちは動物愛護センターに一旦保管されます。
しかしそこから命のカウントダウンが始まるのです。
床は冷たいコンクリート。その部屋は可変式で日々壁が動いていき、一日ごとに犬たちを狭い部屋へと追い込んでいくのです。
そして引取り手がなければ保管してから7日目の部屋には二酸化炭素が注入され、数分間には焼却炉に放り込まれていくのです。
皆さんは知らないかもしれませんがこうした作業が全国各地で毎日繰り返されているのです。
利益を追求する企業や無責任な人間たちの仕業で犬をドンドン殺していっているのが現実です。
ペットを捨てるということは法律違反にあたります。
犬を飼う責任、そして販売する側の義務が上手く組み合わないとこうしたことが繰り返されてしまいます。
2001年に全国ペット小売業協会が設立されたことで、無責任な販売を自粛させたり、購入者へ子犬の情報を周知させたり、いままで見過ごされてきたさまざまな問題に取り組み始めているペットショップもようやく増えてきているのだそうです。
また熊本市動物愛護センターでは「殺処分ゼロ」といって、出来るだけ殺処分をしない、持ち込みを受け付けないなどの運動に取り組んでいます。
このように少しずつ考え方が見直されてきていることに一途の望みを願いを託します。
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